特定技能「介護」完全ガイド(決定版)


はじめに

介護業界では慢性的な人手不足が続いており、「特定技能(介護)」の活用が急速に広がっています。

本記事では、制度の全体像から試験、受入れ、成功事例まで詳しく解説します。

目次

 特定技能「介護」とは

特定技能「介護」は、一定の技能と日本語能力を有する外国人が、日本の介護施設で即戦力として働くことができる在留資格です。
特定技能1号は、最大5年間の就労が可能です。

介護と介護に付随する業務が可能で、任せられる業務は入浴介助・食事介助などの身体介護などと、それに付随する支援業務となります。
職業としては、介護士、看護助手です。

また、特定技能2号が存在しない分野は5分野あり、介護はそのうちの一つです。
特定技能1号を修了後に引き続き介護分野で就労したい場合は、在留資格「介護」へステップアップするのが一般的です。
この場合、特定技能1号の在留期間中に介護福祉士の資格を取得する必要があります。



従事可能な業務

・身体介護など
 介護を受ける人の状況にあわせて入浴、食事、排せつを助けること等

身体介護などに関係して助けが必要な仕事
 レクリエーションの実施、リハビリテーションの補助等

訪問系サービスも可能に

2025年より、訪問系サービスも特定技能の対象となりました。
具体的には、訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、介護予防訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、訪問型サービス(総合事業)などです。

特定技能「介護」の場合は、通常の特定技能「介護」の要件に加えて、以下の要件を満たすことで訪問介護などの訪問系サービスの業務に従事することが可能です。

訪問系サービスの要件
・介護職員初任者研修課程などを修了
・介護事業所などでの実務経験等(※)を有する特定技能外国人
※ 介護事業所等での実務経験が1年以上あることを原則とする

さらに、受入れ事業所は、利用者・家族へ事前に説明を行うとともに、以下の事項を遵守する必要があります。

  • 遵守事項
    1. 外国人介護人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項などに関する研修を行うこと
    2. 外国人介護人材が訪問介護などの業務に従事する際、一定期間、責任者などが同行するなどにより必要な訓練を行うこと
    3. 外国人介護人材に対し、訪問介護などにおける業務の内容などについて丁寧に説明を行いその意向などを確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること
    4. ハラスメント防止のために相談窓口の設置などの必要な措置を講ずること
    5. 外国人介護人材が訪問介護などの業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合などに適切な対応を行うことができるよう、情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと

 特定技能「介護」の特徴

特定技能「介護」の在留資格の特徴としては、以下の点が挙げられます。

  • 訪問介護などの訪問系サービスへの従事が可能(2025年~)
  • 夜勤が可能
  • 配属後すぐに人員配置基準に加えることができる
  • 特定技能外国人を支援する義務がある
  • 雇用形態は直接雇用のみ(派遣不可)
  • 業務範囲は介護職および看護助手などで、日本人と同様に働くことが可能

特定技能「介護」は1人で夜勤が可能
制度上、夜勤が可能で、日本人と同じような勤務形態で働いてもらうことができます。
技能実習の場合は、2年目以降で技能実習生以外の介護職員と複数体制でなければ夜勤はできません。
人手不足の現場にとって1年目から夜勤も任せられる点は、大きな違いです。

配属後すぐに人員配置基準に加えることができる
特定技能外国人は、施設に配属後すぐに人員配置基準に加えることができます。
これも人手不足の現場にとって非常にメリットになる点です。
こちらも技能実習との比較になりますが、技能実習の場合は配属後6カ月間は人員配置基準に加えることができず、訪問系サービスに従事する際は、原則1年経過後に職員数に算入できるようになります。

特定技能外国人を支援する義務がある
介護分野だけに限らず、特定技能制度では、企業は支援計画を立て、計画に基づいた支援を特定技能外国人に対して行うことが義務付けられています。

特定技能外国人への義務的支援
①事前ガイダンス
②出入国する際の送迎
③住居確保・生活に必要な契約支援
④生活オリエンテーション
⑤公的手続き等への同行
⑥日本語学習の機会の提供
⑦相談・苦情への対応
⑧日本人との交流促進
⑨転職支援(自己都合退職以外)
⑩定期的な面談・行政機関への通報

これらの義務的支援は事業所や自社で対応することが難しい場合、「登録支援機関」へ委託することが認められています。
登録支援についての詳細は以下のボタンからご確認ください。

施設や事業所の受け入れ要件

特定技能「介護」の外国人を雇用するには、施設や事業所側が満たすべき条件があります。

受け入れ条件

  • 介護分野の特定技能協議会に加入する
  • 従事させる業務が、身体介護(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助など)やこれに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助など)
  • 受け入れる事業所が、介護などの業務を行うものである
  • 受け入れ人数は事業所単位で日本人など※の常勤職員数を超えない数まで 
    ※在留資格「介護」や永住者、日本人の配偶者で在留する外国人も含む

介護分野の協議会には、在留資格申請する前に加入しなければいけなくなりました(加入済の場合は追加加入は不要)。


特定技能「介護」で受け入れ対象となる施設は複数ありますが、例として老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業を見てみましょう。

<老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業>
1.児童福祉法関係の施設・事業
2.障害者総合支援法関係の施設・事業
3.老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
4.生活保護法関係の施設
5.その他の社会福祉施設等
6.病院または診療所

対象施設詳細は以下のURLからご確認いただけます。

対象施設|厚生労働省

 申請要件

特定技能「介護」を取得する方法は主に4ルートあります。
1つは「介護分野の特定技能1号評価試験に合格する」
2つ目は「介護分野の技能実習2号から移行する」
3つ目は「介護福祉士養成施設を修了する」
4つ目は「EPA介護福祉士候補者として在留期間満了(4年間)」というものです。

①介護の技能評価試験と日本語試験に合格

特定技能「介護」の在留資格を取得するための試験は、介護業務に関する「介護技能評価試験」と、日本語力を測る「日本語試験」、「介護日本語評価試験」があります。

実技試験はありません。

  • 以下の試験に合格する
    • 介護技能評価試験
    • 日本語試験:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)200点以上
    • 介護日本語評価試験

②介護分野の技能実習2号から移行する

外国人材が特定技能「介護」を取得するための2つ目の方法は、「介護分野の技能実習2号から在留資格を移行する」というものです。

以下の条件で移行をすることができます。

  • 技能実習から特定技能へ移行する際の条件
    • 技能実習2号を良好に修了、または3号の実習計画を修了していること
    • 技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること

上記の条件を満たしている場合、技能実習生は試験を受けることなく特定技能へ移行することができます。
しかし、介護分野で注意しなければならない点は、「介護日本語評価試験」は免除されないことです。必ず受験して合格しましょう。

③介護福祉士養成施設を修了する

介護福祉士養成課程を修了している場合は、特定技能の試験を受験しなくても、特定技能「介護」を取得できます。
介護福祉士養成課程において、介護分野における一定の専門性と技術、知識を持っていることや、日本語能力をすでに備えているとみなされるためです。

④EPA介護福祉士候補者として在留期間を満了(4年間)

EPA介護福祉候補者は、4年間、EPA介護福祉士候補者として就労・研修に適切に従事していれば、介護技術も日本語能力も十分に持っているとみなし、特定技能の試験が免除されます。

このように、特定技能「介護」分野においては在留資格の取得方法が複数あります。
ほかの分野にはない特徴であり、さまざまな経歴から在留資格を取得することができます。


導入の流れ

①人材募集(海外・国内)

②試験合格確認

③雇用契約締結

④在留資格申請

⑤就労開始


成功事例

【事例①:介護施設A(千葉県)】

慢性的な人手不足に悩んでいたが、特定技能人材を3名受入。
→ 夜勤体制が安定し、離職率が低下

【事例②:介護施設B(東京都)】

技能実習から特定技能へ移行
→ 即戦力として活躍、リーダー候補に成長

注意点

特定技能「介護」の外国人を採用するにあたって、注意すべき点について詳しく見ていきましょう。

事業所の受け入れ人数に上限がある

特定技能「介護」の外国人は、事業所単位で日本人の常勤職員数よりも多く受け入れることはできないと定められています。
この受け入れ人数のカウントには特定技能だけでなく、在留資格「介護」や永住者、日本人の配偶者で在留する外国人も含む点に注意が必要です。

転職が可能

特定技能制度では、転職制限はありません。
在留資格で認められている分野・範囲内であれば自由に転職できます。

例えば、特定技能「介護」分野の仕事から、特定技能「外食」分野の仕事に転職することはできませんが、同じ介護職や看護助手であれば可能です。
別の分野の業務を行いたい場合は、先述の通り、各分野の試験に合格する必要があります。

技能実習制度では転籍が認められていませんが、在留資格を技能実習から特定技能へ移行するタイミングで、別の企業へ転職することは可能です。
ちなみに、技能実習に代わって新設される育成就労制度では条件付きで転籍が可能となることが決定しています。

介護分野に特定技能2号はない

介護分野は、既存の在留資格「介護」で長期間の在留・就労が可能なため、特定技能2号の対象分野ではありません。

そのため、介護分野の特定技能1号の外国人がさらにキャリアアップを目指す場合は、介護福祉士および在留資格「介護」を目指すことになります。

現状

2025年12月末時点、特定技能「介護」で日本国内に在留している外国人は67,871名です。

分野別の在留数は2026年12月末時点で2位となり、増加傾向です。

特定技能「介護」の試験は非常に進んでおり、日本国内のほか海外でも実施されています。

日本国内も海外も積極的に試験が実施されており、特に近年はインドネシア国籍の増加が顕著です。

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まとめ

日本における人手不足の加速とともに需要が高まり、多くの特定技能外国人が日本で働くようになりました。
そのなかでも介護分野の在留者数の増加は著しく、在留資格取得のハードルが比較的低いことや、他の在留資格と比較して人数を確保しやすく、制度的に利用しやすいことが増加を後押ししています。今後もこの傾向は続く見込みです。

特定技能「介護」以外でも介護職に就くことはできますが、採用の難易度や受け入れ後の業務範囲などを考慮すると、特定技能「介護」が一番受け入れやすく現場で即戦力として活躍してもらいやすい在留資格と言えるでしょう。

ただし制度理解と適切な運用が不可欠です。
ぜひ特定技能外国人の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。

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